何気なく食べている「はちみつ」。採れた花や地域などによって、見た目の色も違います。食べてみたら、甘みの強さや質も違うし酸味の質も違います。
そして、同じ蜜源で採れたものでも養蜂家が採蜜する時間が違うだけで全く別物となります。
夕しぼり
夕方、働き蜂が戻っていったん巣房にため込んだ時点で養蜂家が採蜜する方法を「夕しぼり」といいます。
生産効率は上がりますが、まだ内勤蜂によって濃縮作業が行われておらず、水分量が多いです。そのため、加熱処理して水分を除去する必要があります。加熱することで、はちみつの変質や変色があり、味も香りも落ちます。
朝しぼり
その日ではなく、翌朝まで待って採蜜する方法です。一晩寝かせている間に、働きバチは羽を震わせたりして水分を蒸発させ、はちみつを濃縮する作業を行います。
濃縮された結果、量は減りますが糖度が高まり、最高の味や香り、風味を持ったはちみつとなります。
ミツバチは、昼間に花々を回って蜜を集めます。
集められた蜜は、ミツバチの分泌する酵素と混ぜ合わされ、蜂の巣の房室に溜められます。この段階の蜜は、水分約50~60%と水の方が多い状態です。
ミツバチたちは、房室の上方で羽をふるわせることによって、種類によっては90%もの水分を蒸発させて、ハチミツを濃縮させます。保存に適した状態にするためです。この作業が終わると、ミツバチは蜜蝋で房室にフタをします。
こうやって夜を越えるあたりには、ハチミツは巣房の中で熟成され、朝には濃厚な味になっています。これが完成された本来のハチミツです。一方、夕方に採取されたハチミツは、この過程を終えていません。
水分が多く、そのままでは売れないので、これを人工的に飛ばして濃縮するために加熱処理を行ないます。
加熱処理はハチミツの有効成分や栄養素を破壊して、品質を劣化させてしまいます。熟成されていない未完成なハチミツであった上に、有効成分がほとんどなくなってしまえば、ただの甘い水と大差ありません。
これを『夕絞り』と呼びます。ほとんどの消費者はハチミツに甘味料を混ぜたり、加熱処理して濃縮していても気づかないため、ハチミツを大量生産している業者は『夕絞り』のハチミツに甘味料を混ぜて安く売っているのが実情です。
一晩かけて、ミツバチが頑張ってはちみつを濃縮させてくれます。養蜂家も朝早くから採蜜作業を行わなければならないので大変ですね。そんな背景を知っておくことで、はちみつを食べた時の喜びや嬉しさも増しますね。
もう、おわかりかと思いますが「朝しぼり」の方が間違いなくいいですね。
最後まで、読んでいただきありがとうございました。