キーコーヒーの取り組み
同社は16年から米コーヒー研究機関「ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)」と共同で世界の42品種の栽培に取り組んできた。品種改良で取り組むのは味の向上だけではない。病害に強い品種の開発も急ぐ。気候変動や降雨量の減少などにより農作物であるコーヒー豆の生産が将来、危機に陥るとされるからだ。
コーヒーの野生種はアラビカ、ロブスタ、リベリカの3大原種がある。世界で栽培される7割を占めるのがアラビカ種だ。香りが良く飲みやすいコーヒーに仕上がる一方、病害虫や気温の変化に弱く栽培に手間がかかるとされる。
コーヒーの栽培地は北緯25度から南緯25度の「コーヒーベルト」と呼ばれる地域に限られる。標高の高い場所で栽培し、日夜の温度差によりコーヒーの実が引き締まり味が凝縮されるのだ。ただ、この地域で気候変動だけでなく、赤道付近特有の雨期と乾期のリズムが崩れ始め、深刻な干ばつが生産地を襲っている。
世界でコーヒーの生産量1位のブラジルだけでなく、中南米やアフリカなどでも同様の現象が予測される。この状況が続けば50年にアラビカ種のコーヒー栽培に適した土地が現在の50%にまで縮小する、とWCRが警鐘を鳴らすのが「コーヒーの2050年問題」だ。
コーヒーの木は年月がたつと実が落ちやすくなり、病気にかかりやすくなる。気候変動で環境が変われば、植物の感染症の一種である「さび病」問題が深刻になるという見方も多い。
スターバックスの取り組み
米コーヒーチェーン大手スターバックスコーヒーはさび病に強いコーヒーの木の苗の開発を進めている。15年から約2100万本の健康なコーヒーの木を、さび病などの病気や寿命で古くなった木の差し替え用として生産者に提供。25年までに1億本を目指す。
ネスレの取り組み
世界食品最大手ネスレは、コロンビアのコーヒー生産者連合会と協力し、さび病に強くなるよう苗木の改善に取り組む。コロンビアのコーヒー農家に17年7月時点で約2800万本を提供した。
味の素AGFの取り組み
味の素AGFは耐病性や土壌改良を促す効果があるとされる「コプロ肥料」を活用する。16年度からブラジルやベトナムなどの農園で実証実験を始め、19年度からはさらに大規模に活用していく方針だ。
まとめ
英調査会社ユーロモニターによると、17年のコーヒーの小売り販売額は約830億ドル(約9兆3000億円)だった。アジアを中心に世界的にコーヒーの消費量は拡大している。50年はまだ遠い将来だが、コーヒー各社は安定供給へ先手を打ち始めている。
2050年の到来は約30年後です。しかし、それ以前にアジアを中心にコーヒーの消費量
は拡大しています。
収量が減ることが予想され、さらに消費量が現状増えているとなれば、大手コーヒー会社がいろんな取り組みをするのは当たり前かもしれませんね。