コーヒー生豆の価格変動
コーヒーの生豆の価格は需要と供給のバランスの変化によって変動します。
そこに投機などのファンドの影響も加わります。
コーヒーの生産量が減る原因としては、裏作の年であったり気候変動や霜害。また病気や害虫による被害によっても減産します。
コーヒーの木の代表的な病気として「さび病」があります。
この「さび病」は爆発的な伝染力があります。
今は紅茶で有名なスリランカもかつてはコーヒーの生産を行っていました。
それが1868年、「さび病」によって甚大な被害を受けコーヒー産業が一気に衰退しました。
その後も1970年頃にはコーヒー生産国でさび病が大流行しました。
コーヒー生産国では、さび病に強いハイブリッド種に植え替えるなどの対策をとっているところもありますが、まだまだ大きな被害もあります。
そんな「さび病」対策に朗報がありました。
カタツムリが「さび菌」を食べる
アメリカのミシガン大学アナーバー校の最新の研究によると、カタツムリの仲間であるオナジマイマイがコーヒーの木のさび菌を食べ、病害が木全体に及ぶのを防ぐことができるという報告をしました。
かたつむりって、家付きのナメクジみたいなやつですよ!それがコーヒー産業を救ってくれるかもしれないというのです。
子供の頃、母親にカタツムリを「マイマイだよ」と教えられたような気はします。この、さび菌を食べると報告されたカタツムリの仲間は「オナジマイマイ」というそうです。
声に出すと、舌先を噛みそうです。
同じマイマイなら、私はこっちの方がいいです。
なんでも、さび菌だらけになった葉の上に、このカタツムリ「オナジマイマイ」を一匹置いておくと、24時間で菌の30%を食べてしまったそうです。
ただ、この報告を聞いてすぐに手放しで大喜びするのは早計なようです。
害虫を別の生物を使って抑える方策は「生物的防除」と呼ばれる。だが今回のカタツムリを使った防除の可能性には、ひとつ懸念がある。オナジマイマイは通常「侵略的」な種とされており、それ自体が作物害虫なのだ。だが研究者たちは、オナジマイマイにもっぱらコーヒーさび菌だけを食べさせる方法に巡り合えたかもしれない。
オナジマイマイ自体が作物害虫でもあるので、さび菌を食べたとしても作物も食べるなど二面性もありそうですね。
今回の研究報告のきっかけ
しかし、作物害虫でもあるオナジマイマイがさび菌を食べるということを、よく発見されたなと思います。
なぜ、この発見に至ったのか?
2016年のこと。米ミシガン大学の博士課程の学生、ザカリー・ハジアン=フォローシャニ氏と指導教員のジョン・バンダーミーア氏、イベット・ペルフェクト氏は、プエルトリコの中央山脈で現地調査に精を出していた。そこで彼らの目に留まったのは、コーヒーの大きな葉の裏側に細い筋状にくっついた明るいオレンジ色の糞だった。これはカタツムリの排せつ物で、コーヒーさび菌の色と全く同じだった。
コーヒーの葉の裏側についた糞の色がさび菌の色と全く同じだったところがきっかけのようです。
思わず「ふ~ん」と、うなずいてしまいました(笑)
さび菌の敵である寄生菌レカニシリウム・レカニ
そして、検証を複雑にするのが さび菌の敵である寄生菌レカニシリウム・レカニの存在です。
この3者の関係を解き明かすのは簡単ではない。斑点状のさびが多く出たコーヒーの葉には、寄生菌L.レカニもたくさん潜んでいる。そのため、オナジマイマイはさび菌だけを食べるのかもしれないし、さび菌と寄生菌をどちらも食べるのかもしれない。
そこでチームは、さび病にかかったコーヒーの葉を採集。今度は、寄生菌がいる葉も一緒に集めた。そして、オナジマイマイをコーヒーの葉1枚に1匹ずつ置き、暗い容器の中で24時間過ごさせた。
カタツムリの食の習性を統計的分析にかけた結果、さび菌と寄生菌が両方いる葉を有意に選んでいたことが示された。しかも、寄生菌が葉にたくさんいるときの方が、オナジマイマイはさび菌を多く食べるらしかった。
オナジマイマイ、さび菌、レカニシリウム・レカニの複雑な三角関係ですね。
まとめ
カタツムリの仲間である「オナジマイマイ」が、さび菌を食べるということは間違いなさそうですね。
このオナジマイマイとさび菌に関する研究も、まだ始まったばかりです。
この2つ以外に寄生菌レカニシリウム・レカニも絡んだりと、すぐにオナジマイマイを使ってさび菌による被害を減らせるというほど簡単なものではないようです。
ただ、この研究をきっかけとし、これから更にいろんな研究や検証がされていくと思います。
その結果、オナジマイマイによってさび病の被害を減らすことが出来ればいいなと思います。
作物害虫であるオナジマイマイが、コーヒーの天敵であるさび病をやっつけてくれるとなったら、その二面性から「カタツムリ界のロールパンナ」と読んでみたいです。
最後まで、読んで下さりありがとうございました。