長崎•対馬の「幻の蜂蜜」
九州の最北端に位置する「国境の島」対馬。
ここでは対馬伝統の養蜂法「蜂洞(はちどう)」と言うものがあるそうです。
対馬蜂蜜「蜂洞」の名前の由来は、丸太をくりぬいた巣箱、その名も「蜂洞」。対馬のいたるところで目にすることができます。
この蜂洞で作られるはちみつは、1/3を赤ちゃんミツバチに、さらに1/3は蜂の越冬のために残さなければならないため、人が分けてもらえるのは残りの1/3だけ。せいぜい2キロ程度ととても少ないため、ほとんど島の外には出回ってきませんでした。
さらに、対馬蜂蜜は1年に1回、秋のあいだ(10月~11月にかけて)だけしか採蜜されません。そのぶん貯蜜期間が長く、ゆっくりと熟成されるため、非常に濃厚なはちみつになります。
こうして取れた対馬のニホンミツバチの蜂蜜は「幻の蜂蜜」と呼ばれているそうです。
ただ、ここ数年この「幻の蜂蜜」が本当に幻になりかねない事態が起きているそうです。
ツマアカスズメバチ「駆除大作戦」
ミツバチにとっての天敵というとスズメバチが有名です。
スズメバチがミツバチを襲うとミツバチのコロニーが全滅してしまうということもあります。
ただ、だからといってスズメバチを極端に駆除してしまうと生態系が乱れてしまいます。
スズメバチは、日本の農業にとって大切なものです。
むやみやたらと農薬を使わないためにも、農作物につく害虫を駆除してくれるスズメバチは一定数は必要だと思います。
もし、必要があってスズメバチを駆除した際は、スズメバチに感謝しつつ焼酎や蜂蜜に漬けていただくなど命を大切にして欲しいと思います。
ただ、普通のスズメバチは在来種ですが長崎県対馬で2012年ごろ生息が確認された「ツマアカスズメバチ」は特定外来生物です。
この外来種を野放しにしておくと、日本の生態系が大きく崩れかねません。
そしてこのツマアカスズメバチは日本に元々いるスズメバチよりもかなり凶暴で攻撃的だそうです。さらに繁殖能力が高く、短期間で爆発的に増えるそうです。
当然、ミツバチを襲うわけで、対馬の「幻の蜂蜜」が大きなピンチを迎えました。
同じ2012年にはポルトガルやベルギー、ドイツでも生息が確認されたそうで、世界的にも生息域が拡大しています。
そして環境省や対馬市は2016年に危機感を強め「駆除大作戦」と銘打ち、ツマアカスズメバチの巣や営巣前の女王蜂の駆除に乗り出しました。
乳酸菌飲料を発酵させた「誘引剤」を入れたペットボトルを加工し、罠を木の枝に引っ掛けて捕獲する仕組みだそうです。
市民にも軒先等への設置を呼びかけ2016年度からの4年間で約4万匹もの女王蜂の駆除に成功したそうです。
ものすごい数ですね。
この対馬で何とか外来種であるツマアカスズメバチの生息域拡大を食い止めるためにも完全な駆除に成功してほしいと思います。
対馬だけでなく日本全域の生態系を守るためにも大きな問題だと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。