東京・蔵前「ダンデライオン・チョコレート」
キッチンブラザーズの記事の紹介
とにかくすべてが新鮮だったんです。
全部の製造工程を店の中でやるっていうスタイルは新しいと思ったし、店の造りもかっこよかった。客席で実際に工程を見ながら産地の違うチョコレートのテイスティングをしたんですが、その味の違いに本当に驚きました。僕はむしろチョコレートって全然食べない方だったんだけど、そこで食べたものはすごくおいしいと感じたんです。
材料はカカオ豆とお砂糖だけですよ。そんな至ってシンプルな材料と工程によってこの板チョコができあがるのだと知って、もう目から鱗というか。ダンデライオン・チョコレートが伝えるクラフトカルチャーの真の価値。 | KITCHEN BROTHERS(キッチンブラザーズ)
ダンデライオン・チョコレート・ジャパン代表取締役CEO 堀淵 清治さん
1952年徳島県生まれ。早稲田大学法学部を卒業後、渡米。カリフォルニア州立大学ヘイワード校を中退し、2年ほど山でヒッピー生活を送る。その後、1986年サンフランシスコに出版社ビズコミュニケーションズを設立し、日本の漫画をアメリカへ流通させる立役者となった。2011年には日本のポップカルチャーを発信するNEW PEOPLE, Inc.を創業し、2013年ブルーボトルコーヒージャパンの共同代表を務める。そして2015年ダンデライオン・チョコレート・ジャパンのCEOに就任し、東京・蔵前に1号店をオープンした。
当時のサンフランシスコには、Bean to Barのチョコレート屋というものは他にもあったのでしょうか?
ほぼゼロだったと思います。
アメリカ中で見れば何十社もあったんですけど、いわゆる街の雑貨屋さんのような小さいお店が多くて、規模を持ってやってるところはそんなになかった。好きで始めていつかうまくいけばいいなってことではなく、シリコンバレー的に投資を集めて、ビジネスとして成功させる意気込みでやっていたのはダンデライオン・チョコレートくらいじゃないかと思います。
日本では”当たり前”になっているクラフトカルチャー
そもそも、日本はクラフトカルチャーの国みたいなところがある。
例えばコーヒーで言えば、喫茶店のマスターがコーヒーを一杯一杯淹れるのもクラフトだし、そういう職人気質な文化だらけなわけ。ただ、それが日常に溢れすぎて当たり前になっているから、日本人は自分でそのおもしろさに気づいてイノベーションしようとする力があまりないのではないかと。
だから、良いものの本質を発見して、ちゃんとコンセプトをつくってわかりやすく伝えたら受けないわけがないと思いました。チョコレートだって100年前から同じ作り方をして食べてるわけだから、全然新しいものじゃないんです。
100年前のチョコレートの作り方をBean to Barと名付けてビジネスというシステムをつくること、コンセプトをつくって洗練すること。フードで言えば、それが「イノベーションする」ということだと思います。