2月3日は節分じゃなかった
ミツバチの4分の1の種類は1990年から生存が確認されていない
植物の花粉を媒介することで、世界中で栽培されている全作物の85%の受粉を助けているというミツバチが、1990年以降急激に種類を減らしていることが、新たな研究により判明しました。ミツバチは人間の農業だけでなく、生態系にも重要な役割を果たしていることから、科学者はミツバチの種の減少に危機感を募らせています。過去に発表された多くの研究により、ミツバチの種の減少が人間の暮らしや自然に大きな影響を与えることが示されていますが、ミツバチの多様性を長期的に評価した研究はこれまで行われてきませんでした。そこで、アルゼンチンにあるコマウェ国立大学の生物学者であるEduardo Zattara氏とMarcelo Aizen氏は、世界中の科学者や市民が寄せた生物の生息情報を集約している地球規模生物多様性情報機構からデータを取得して分析を行いました。その結果、2006~2015年の間に発見が報告されたミツバチの種類は、1990年以前に比べて25%も減少していることが分かりました。Zattara氏はこの結果について「インターネットを介して市民と科学者がデータを共有できるようになったことで、記録は指数関数的に増加しています。それにもかかわらず、こうした記録で報告されている種の多様性は減少の一途をたどっていました」と述べました。
また、ミツバチの中では一般的な種であるコハナバチ科の減少率は17%だったのに対し、希少なケアシハナバチ科の減少率は41%と、報告される種類が減少しているミツバチは科ごとにばらつきがあることも分かりました。
ミツバチが減少傾向にある理由の1つとして、蜂群崩壊症候群があげられます。蜂群崩壊症候群はアメリカやヨーロッパ、日本などで確認されており、直接の原因は不明ながら「農薬が主因ではないか」との説が有力視されています。農薬の中でも、ネオニコチノイド系の殺虫剤は「致死量以下の濃度でも益虫に多大な影響を及ぼす」ことが、これまでの研究により示されています。イギリス・ブリストル大学の神経学者であるキア・タスマン氏らの研究もその1つです。
タスマン氏らは、農薬として世界中で広く使用されているネオニコチノイドが昆虫に与える影響を調べるため、マルハナバチのエサに、農薬が散布された農場での暴露を想定した濃度のネオニコチノイドを混ぜて与える実験を行いました。その結果、マルハナバチの昼夜は逆転し、昼に寝て夜にエサを探そうとするようになってしまったとのこと。
このことからタスマン氏は、「ミツバチが夜明けと共に採餌できないということは、蜜や花粉が最も豊富なタイミングでエサを集められないことを意味しています。これは、ミツバチがエサを集める能力が低下し、ひいてはミツバチの繁殖が妨げられることにつながります」と述べました。