"蒸らし"の必要がないハリオv60「MUGEN」
ハリオから少し前に発売された蒸らしの必要がないドリッパー「MUGEN」。
ペーパードリップなどでコーヒーを抽出する時、なぜ「蒸らし」をするのでしょうか。
その理由は大きく2つです。
- コーヒーに含まれている炭酸ガスを抜く
- コーヒーの粉の中にしっかりとお湯を行き渡らせることで、成分の抽出を効率よく行うための準備
です。
コーヒーの粉は多孔質で、その内部は焙煎したときに発生する二酸化炭素で埋め尽くされています。
お湯をかけて温度が上昇すると、水を含んで柔らかくなった細胞壁の内側から炭酸ガスが一気に発生し、コーヒーの粉1粒1粒が膨張し粉の層全体が盛り上がります。
このガスがコーヒーの粉の層にまだたくさんある状態でコーヒーの抽出をすると、炭酸ガスによってお湯がコーヒーの粉に馴染むことを妨げられ、安定した成分の抽出が行われません。
蒸らしをすることで、しっかりと炭酸ガスを抜きコーヒーの粉の中にお湯を馴染ませることで安定した抽出を行うことができます。
今回発売されたハリオのV60MUGENは、蒸らしの必要がないと言うのでそれを根本からひっくり返すようなドリッパーです。
この「MUGEN」と似たものにメリタのアロマフィルターがあります。
アロマフィルターは、蒸らしをした後決められた量のお湯を注ぎ落ちきるのを待つだけと言う商品です。
メリタは「蒸らし」をする必要があります。
その辺、どのような差が出るのか楽しみです。
「MUGEN」は、なぜゆっくりと抽出されるのか
ハリオのV60と言うと、下の部分に大きな1つ穴が開いており、内側にスパイラルリブと言う大きく長い段差があり、これによってペーパーフィルターとドリッパーの間に空気を通すことで早い抽出を可能としています。
早く抽出されるので、お湯を注ぐときのコントロールを安定させないと、抽出後のコーヒーの味は毎回バラバラになりやすいです。
裏を返せば、自由度が高いといえます。
「MUGEN」は、そのリブを星型にし浅い段差とすることでドリッパーの内部にお湯が留まるように作られています。
そのため、従来のV60に比べペーパーフィルターとドリッパーの間の空気の通り道が少なくなることで、抽出速度が遅くなります。
また、ハリオが推奨しているのは「中細挽き」の豆を使用するようにとのことです。
この辺で、お湯が落ちる速度をゆっくりとするのですね。
「MUGEN」で抽出してみました
ハリオの説明書には「中細挽きのコーヒー粉20グラムを入れ、お湯を240ミリリットルを中心から渦上にゆっくりと注ぐ」と書かれています。
今回、この「MUGEN」を購入した方に少しお借りすることが出来たので、この通り抽出してみました。
蒸らしをしないと言うことで、鮮度の良いコーヒーを直前に挽いて使用するとおそらくしっかりとした抽出ができないのではと思いました。
今回使用した豆は中煎りのブレンドコーヒーです。
それを焙煎後すぐに粉砕し、2週間経ったものです。
これなら、しっかりと炭酸ガスは放出されているのでこの「MUGEN」にとっては悪い条件ではないと思います。
挽き目はカリタのハイカットミルの「4.5」です。
湯温は90℃。
20gの粉を使い、40秒かけて240mlのお湯を渦状に注ぎ切ります。
実際、飲んでみると想像していたよりしっかりとした濃度のコーヒーです。
濃度計で計ったわけでは無いですが、私の感応では「思っていた以上」です。
今回はいわゆる「落とし切り」で抽出しましたが、コーヒーの雑味などもほぼ気にならなかったです。
焙煎後、1週間以内のコーヒーなどを使用するとかなりブレそうですが、今回の条件であれば普通に飲むことができます。
さらにこの「MUGEN」には、セラミック製のものもあるようです。
セラミック製のものは、樹脂製のものよりも抽出速度がかなり遅いようです。
釉薬を塗る関係などで、リブの高さが樹脂製ほど寸分狂わずと言うのが難しいようです。
セラミック製のものは、その辺個体差もあるのかなと思います。
まとめ
私は今回少しお借りしただけなので、1回しか抽出していません。
いろいろ、検証してみると面白そうです。
メリタのアロマフィルターは蒸らしを行いますが、それと比較しても今回飲んだコーヒーは濃度に関してはしっかりとした印象を受けました。
ただ、コーヒーの粉に含まれているガスの量などによってぶれ幅は大きいかなと思います。
鮮度の良いコーヒーで「MUGEN」を使って抽出するなら、個人的にはやはり蒸らしをしたいなと思います。
ハリオさんの販売戦略として、蒸らしの必要もない簡便さをアピールしているのだと思います。
「MUGEN」も使う人の使い方は「MUGEN」にあっていいと思うので、もし購入された方は色々と無限に楽しんでみてはと思います。
こんな風にインテリア的にもおしゃれですね!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。