コーヒーとはちみつと私

【コーヒー&はちみつペアリング研究家】普段、私がコーヒーとはちみつをどんなふうに楽しんでいるかご紹介させて頂きます。

セブンの「100円コーヒー」がヒットした理由から考える”トレードオフ”

 

トレードオフとは

最近「トレードオフ」と言う言葉を耳にする人、実際に使う人が増えているのではと思います。


もともと「トレードオフ」と言う言葉は経済用語です。


本来の意味は「両立できない関係性」を示す言葉として使われています。


一方を立てれば、もう一方が立たないと言う状態のことです。


もっとわかりやすく言うと、2つ以上のことに対する欲求を同時に満たすことができない状態のことです。

 

日本のことわざで言うと「時は金なり」などがまさにそれに当たるかなと思います。


「トレードオフ」の対義語としては「両立」や「win-win」などでしょうか。


この「トレードオフ」と言う言葉、ビジネスの場で使われるときに最も多いのが「高品質」と「低価格」ではないでしょうか。


低価格商品を作ろうとすると品質の維持は難しい。


一方、高品質なものを作ろうとすれば低価格に抑える事は難しいと使うシーンはあるかなと思います。


地球の温暖化に関するところであれば温室効果ガスの排出量を下げなければ地球温暖化を抑止することができないと言われている一方で、経済成長を促すには多くのエネルギーが必要となるため温室効果ガスの排出量も増えることとなります。


そこで「経済成長」をとれば「環境破壊」につながり、「環境」を守れば「経済成長「は見込めないと言う関係が出来上がっています。


そんなとこからも見てとれるように「トレードオフ」と言う言葉は「二者択一」と言うふうに私自身も思い込んでしまっているところがあります。


そこに一石を投じるのがセブンイレブンの「100円コーヒー」の大ヒットではないでしょうか。

 

セブンの「100円コーヒー」がヒットした理由から考える”トレードオフ”

セブンカフェ

 

新しいものを生み出すという意味のイノベーション(革新)には二つのパターンがあります。

一つはこれまで存在しなかった概念のものを生み出すことです。そして、もう一つは既存の概念のものに新しい意味をつけ加えて革新することです。

現実的には、前者のように、無から有を生み出されるケースは少なく、多くの場合、後者です。既存の概念のものであっても、いままでにない組み合わせや結びつきによって、新しい意味や価値が生まれるのでしょう。

既存の商品やサービスについて、新しい価値を生み出す方法として、「上質さ」と「手軽さ」をいかに組み合わせるかというやり方があります。

質の高さを追求する「上質さ」と、値段の安さ、入手のしやすさなどの「手軽さ」は、一般的にはトレードオフの関係にあるように考えられます。

トレードオフというと「二者択一」と訳され、白か黒か、二律背反のどちらか一方をとり、もう一方は切り捨てるというとらえ方が多いようですが、お客様のニーズに応えようとするとき、これは正しい理解ではありません。

「上質さ」か、「手軽さ」かのトレードオフの場合、「上質さ」なら上質一辺倒ではなく、その中にどれだけ「手軽さ」をちりばめるか、逆に「手軽さ」なら手軽一辺倒ではなく、どれだけ「上質さ」をちりばめるか、そこに価値が生まれます。これがトレードオフの戦略です。

あっという間に「コーヒー販売数で日本一」に…セブンの「100円コーヒー」が大ヒットした本当の理由 「上質さ」と「手軽さ」の絶妙なバランスを突いた | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 

一方を立てればもう一方が立たないと言う「もう一方」をあきらめるのではなく、散りばめる。


そこに、セブンイレブンの100円コーヒーの大ヒットがあったようです。

 

「上質さ」を実現しながら、価格面の「手軽さ」をちりばめる

【図表1】「上質さ」と「手軽さ」のトレードオフ

「上質さ」と「手軽さ」という、タテとヨコ、二つの座標軸で市場をとらえたとき、競合も進出していなければ、誰も手をつけていない「空白地帯」を見つけ、自己差別化をすることです。

セブンプレミアムも空白地帯を見つけ出した典型です。

流通のPB(プライベートブランド)商品は一般的に価格面での「手軽さ」に傾倒します。これに対し、NB(ナショナルブランド)商品と同等以上の「上質さ」を実現しながら、価格面の「手軽さ」をちりばめることにより、PB商品の空白地帯に投入したセブンプレミアムはコンビニ、スーパー、百貨店のどの業種、どの店舗でも大ヒット商品になりました。

 

セブンカフェは1杯100円という「手軽さ」の中に高品質という「上質さ」をちりばめることで大ヒット商品になりました。

 

また、ワンランク上のセブンプレミアムゴールドのシリーズも、より「上質さ」を高めて、新たな空白地帯を開拓し、ヒット商品になりました。

 

ここで、アメリカのスターバックスの成長→陥落→復活についてもこのあたりのことが学べます。

 

なぜ拡大路線に転じたスタバの業績は急落したのか

トレードオフが不明確で、「上質さ」も、「手軽さ」も中途半端になると、お客様の選択からはじかれます。『トレードオフ 上質をとるか、手軽をとるか』(ケビン・メイニー著、プレジデント社刊)という本では、中途半端な状態を「不毛地帯」と呼んでいます。お客様が、特に価値を感じなくなる状態のことです。

一例として、一時業績が急落したアメリカのスターバックスをあげています。

スターバックスは「ゆったりとしたひと時を過ごすためのオアシス」という体験価値を提供し、「上質さ」を基本戦略としてお客様の絶大な支持を得ながら、そこにはコーヒーショップの「手軽さ」もちりばめられていた。

ところが、拡大路線に転じ、出店攻勢をかけて以降、手近な店になった半面、「上質さ」は薄れ、かといってマクドナルドほどの「手軽さ」もなく、不毛地帯に陥り、業績が低迷した。そこで再び、「上質さ」へと軌道修正したことで回復していったわけです。

 

「トレードオフ」は二者択一だという先入観を棄て”ちりばめる”。よく覚えておきたいです。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。