養蜂家に大人気「セイヨウミツバチ」
国産蜂蜜の95%以上は、セイヨウミツバチが採ってくれています。
日本では、明治時代にセイヨウミツバチが輸入されるようになり養蜂が始まりました。
セイヨウミツバチが重用される理由はいくつかありますが、その最大の理由は環境適応力の高さだと言われています。
セイヨウミツバチは、熱帯雨林から乾燥地帯、冬場が寒い温帯域まで、あらゆる環境で生き延びる能力を持っています。
また、巣を作ってしまうと、環境が多少悪くなっても根気強く同じ巣を使い続け、あっちこっちに移動したりしません。
在来種であるニホンミツバチは、これとは対照的で周囲に餌がなくなったり、気温が変化したり、巣箱を何度も開け閉めされるとストレスを感じて別の場所に引っ越してしまいます。
そして、セイヨウミツバチの方が、1つの巣から採取できる蜂蜜の量が多いことも養蜂に向いている理由の1つです。
そんなセイヨウミツバチは、明治時代に初めて輸入されたこともあり、またその名前から当然ヨーロッパ発祥のものかと思っていました。
ところが、西アジアで誕生した可能性が高いようです。
セイヨウミツバチが、実はアジア出身だった
セイヨウミツバチの起源の解明は何十年にもわたって専門家の悩みの種だったそうです。
しかし、カナダのヨーク大学の研究により、セイヨウミツバチはアジアで生まれた可能性が高いことが判明しました。
研究チームは今回、野生のセイヨウミツバチの18の亜種、計251匹を対象にゲノム解析し、そのデータをもとに起源と分散パターンを再構築したそうです。
その結果、セイヨウミツバチは、西アジアを中心としたアジア起源であることが遺伝子データから強く支持されました。
遺伝子解析では、アフリカで生まれた可能性が6%。ヨーロッパで生まれた可能性が3~6%。それに対し、西アジア内で発生した確率は64~71%だったそうです。
また、分散パターンを調べたところ、西アジアからアフリカへ進出したグループと、ヨーロッパへ進出したグループが特定されているそうです。
そこから、様々な地域に進出し、今日確認されている約27の亜種の誕生につながったようです。
さらに研究チームはセイヨウミツバチが、高い環境適応能力を持つ原因と考えられる遺伝子変異を発見したそうです。
データによると、一万2000個以上ある遺伝子のうち、145個に新しい環境に適応のための遺伝的変異のサインが見られたそうです。
これは特に、働きバチの行動を変化させる変異が大半を占めていたようです。
つまり、働きバチがまず活動しやすいように環境に適応した遺伝子変異を起こし、それが種全体に拡散していったようです。
ミツバチに関しては、まだまだ解明されていないことも多いです。
こうした研究が、ミツバチたちを守ることに繋がっていった欲しいと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。