コーヒーの麻袋
コーヒーの生豆が入っている麻袋。今までも、様々なリサイクル活用がありました。
土を入れて土嚢のように使ったり、植木を入れると言う人もいました。また、観葉植物の植木鉢を覆うようにしてディスプレイとして使っているお店もありました。
養蜂家の人は、ミツバチをおとなしくするために使用する燻煙器にコーヒーの麻袋を使用する方も多いようです。
名古屋でオリジナルノートを作ってくれるno detail is smallさんで、以前コーヒーの麻袋を表紙に使用したノートを作って頂きました。
そして、一番よく見聞きするのがバッグにすることじゃないかなと思います。
ネットショップなどで探すと魅力的なコーヒーの麻袋を使用したバッグが出てきます。
実際、バッグに加工しようとするとなかなか大変です。
まず、思っている以上に臭いがきついので、臭いを取り除くために何度も洗ったり干したりする必要もあります。
そして、ミシンで加工しようとすると家庭用のミシン針はすぐに折れてしまいます。
業務用の太い針を使用しなくてはなりません。
太い針を使用しても、コロンビアあたりの麻袋はかなりしっかりしすぎているので加工は難しいです。
ブラジルの麻袋は割と薄手なので比較的加工はしやすいようです。
また、表面の加工を一切使用せずバッグとして使うと麻袋の糸が結構服についたりするので表面を何かしら加工することも多いようです。
そうやって作られた麻袋のバッグは、様々なデザインを楽しむことができます。
同じデザインのものであっても、どのように切り取って使ったかで柄の配置が変わります。まさに一点ものと呼べるでしょう。
そして見ていると、圧倒的にそのコーヒー豆の麻袋の柄をそのまま活かしたものが多いです。ところが、コーヒー豆の麻袋をバッグや小物に再生させるブランド「ユリ」はひと味もふた味も違います。
コーヒー豆の麻袋をバッグや小物に再生させるブランド「ユリ」
ユリは宝塚の老舗コーヒー店「百合珈琲(ゆりこーひー)」と、36年間にわたり高級宝飾店カルティエで店内ディスプレーを手掛けた女性らが協力し、昨年秋に誕生。コーヒー原産国の個性がにじむユニークな柄と素材の風合いを生かし、おしゃれな商品をオーダーメードで製作している。
なんと36年間もカルティエで店内ディスプレーを担当していた女性と老舗珈琲店の人達が協力して出来たブランドのようです。
そして、上の写真を見てみるとトランプの絵や卑弥呼のような(!?)絵が麻袋の柄に追加されています。
しかも、それは小さな柄ではなくほぼメインとなる柄として大きく入っています。
今まで、いろんなコーヒーの麻袋から作ったバッグを見てきましたが、このような仕立てになったものは初めて見ます。
料理などにおいても、素材の味をそのまま活かすというのももちろんいいのですが、たまには大胆に何か追加してみるというのも良いかもしれませんね!
しかも、それによって全体が大きく崩れるのではなく、しっかりと素材の持ち味を活かしながら全く新しいものになる。素晴らしいですよね。
ただ、そういったことを誰でも出来るわけではないですよね。
今回の「ユリ」の場合は、やはり長年に渡ってカルティエに勤務していたことで良いものを毎日たくさん見て、触れてきたこと。
そして、そのカルティエのディスプレイを担当することでそのセンスも磨かれた方が関わったというところが大きいのではと思います。
老舗喫茶店とカルティエのディスプレイを担当していた方。コーヒーの麻袋がそれを繋ぐことで見事な化学反応が起きましたね。
コーヒーの赤い実と緑の葉、1頭のシマウマ、トランプのクイーン…。店内には、さまざまなラベルがプリントされた麻袋や綿袋が積み上がる。原産国や銘柄、積み出し港の名前も印字され、どれも特徴的だ。
ブランド設立の中心になったのは、同県芦屋市に住む中島彌生さん(65)。25歳でスイスの商社に入り、日本国内のカルティエ直営店で、商品展示の企画や実際の陳列を取り仕切った。
60歳で退職後、ディスプレーの専門家として独立。仕事を請け負う百合珈琲でコーヒー豆の麻袋を見つけ、プリントされた柄や素材の雰囲気に魅了された。
近年は別の素材に包まれて輸入されるコーヒー豆が多く、麻袋は希少になりつつある一方で、使い道が少なく、大半が捨てられるという。中島さんが「もったいない」とバッグを試作すると好評で、仲間と協力してブランドを立ち上げた。
コーヒー豆の卸会社から袋を仕入れ、大きさや織り糸の太さ、柄に応じて中島さんがデザインを考案。裁断して皮革など別の素材と組み合わせるのではなく、コーヒー豆袋らしさを「丸ごと生かす」。縫製は、新型コロナ禍で仕事の減った熟練の職人たちに委託。丈夫で軽く、使い込むほどに味わいが出るという。
コロナの影響で対面営業ができず、当初は会員制交流サイト(SNS)を通じたネット通販のみだったが、商品を手に取って質感や使い心地を実感してもらおうと、見本品を置く店の開設を決めた。百合珈琲の本店から約300メートル東で5月中旬にオープン。土日と、週1回の平日に営業する。
中島さんは「同じデザインの袋が継続的に入手できないことも多く、一期一会の魅力がある。持続可能な消費と生産を実現するブランドに育てたい」と話す。
バッグが8800~1万4300円、ポーチが3800円、ドアマット7700円(いずれも税込み)。
店舗概要
兵庫県宝塚市高司2
(百合珈琲本店から東に300m)
土日と、週1回の平日に営業する。
ネットショップはこちらです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。