ポリネーターを必要とする植物の難題
植物を分類するときは、いろんな分け方がありますが1つに「自家受粉」出来るか「他家受粉」かと言う分け方があります。
読んで字のごとく「自家受粉」は、他の動物などの力を借りなくても自分の力だけで受粉を行うことができる植物。
一方「他家受粉」は、自分の力だけでは受粉を行うことができない植物のことです。
ポリネーター(花粉媒介者)と呼ばれる花粉を運んでくれる昆虫などの力が必要となります。
ちなみに、コーヒーの花はどちらか分かりますか?
アラビカ種は「自家受粉」で、カネフォタ種は「他家受粉」になります。
そして「他家受粉」の植物はある難題に直面しているそうです。
それは、草食動物に対抗するための二次代謝物が花粉を運ぶ動物の行動を変え、花粉を運ぶ効率を下げることだそうです。
ポリネーターが必要な植物にとって、本来ならポリネーターに効率よく花粉を運んで欲しいところでしょうが、その効率を下げさせてしまうなんて植物は自己嫌悪に陥ってしまいそうですね。
進化した結果、蜜または花粉の二次代謝物を取り除くと言うだけでなく、花粉を運ぶものの耐性と解毒能力を高める可能性もあるそうです。
ミツバチとお茶の花の蜜
そして、それは社会性が高い昆虫「ミツバチ」にも影響を与える事はあるようです。
ミツバチには整った警報システムがあり、危険に遭遇すると仲間や群れに警報を出し知らせます。
ミツバチの警報信号の強度が一定の限界に達すると、個体や群の防御行動を引き起こします。
中国科学院シーサンパンナ熱帯植物園の研究者によると、お茶の花の蜜には微量のカフェインと茶ポリフェノールが含まれているそうです。
茶ポリフェノールの干渉を受けると、ミツバチの警報フェロモンの成分であるEAGへの反応濃度の限界値が下がるそうです。
つまりミツバチの警報信号に対する感度が上がることになるそうです。
ミツバチは、巣を飛び立って花の蜜を集めに行く間アリやスズメバチ等の天敵から捕食を受ける事は避けられません。
お茶の花の蜜を集めることで外界の危険に対する察知能力が上がると言う事は、ミツバチがより早く警報信号をキャッチし、防御行動を取れることを意味します。
また、お茶の花の水に少量含まれるカフェインはミツバチの学習能力を高めるそうです。
そしてカフェインと茶ポリフェノールはいずれもミツバチの記憶能力を高めることができるそうです。
茶の花の蜜に防御的物質として存在する二次代謝物は、花粉を運ぶ者の、敵への防御能力を高める。これはお茶の木とミツバチの間にある程度の共進化関係があることを意味するそうです。
ミツバチたちが、お茶の花の蜜を集めることで学習能力や記憶力が高まり、さらに外敵から身を守るための防御行動を早く取れることでミツバチの減少を少しでも減らせるかもしれませんね。
この辺の研究が、さらに深くされることを期待したいです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。