コーヒーとはちみつと私

【コーヒー&はちみつペアリング研究家】普段、私がコーヒーとはちみつをどんなふうに楽しんでいるかご紹介させて頂きます。

『文庫 生き物の死にざま』働き蜂の生涯と日本のサラリーマン

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生き物の死にざま


『文庫 生き物の死にざま』

本「生き物の死にざま」に文庫本が発売され買い求めやすい価格になりました。


この本には29種類の昆虫や動物の死に様が書かれています。

 

農学博士の著者、稲垣栄洋氏の書き方が様々な動物の生き様、死に様が人間のそれと重ね合わせる描写が多いです。


それに賛否がはっきり分かれているようなレビューが目立ちます。


おそらく映画やドラマを見て、その世界の中にどっぷりとはまり込むような人が読むと「死ぬまで一生懸命頑張ろう」と思えるのかなと思います。

 

生き物の死にざま 内容紹介

すべては「命のバトン」をつなぐために──
ゾウ、サケ、セミ、カマキリ、タコ……
生命の[最後の輝き]を描く
哀切と感動のベストセラー、待望の文庫化!

生き物たちはみな、最期のその時まで命を燃やして生きている──
数カ月も絶食して卵を守り続け孵化(ふか)を見届け死んでゆくタコの母、
地面に仰向けになり空を見ることなく死んでいくセミ、
成虫としては一時間しか生きられないカゲロウ、
老体に鞭打ち決死の覚悟で花の蜜を集めるミツバチ……。
生き物たちの奮闘と哀切を描き感動を呼んだベストセラーの文庫化。
いきも生き物イラスト30点以上収載。

<目次より>
1 空が見えない最期──セミ
2 子に身を捧ぐ生涯──ハサミムシ
3 母なる川で循環していく命──サケ
4 子を想い命がけの侵入と脱出──アカイエカ
5 三億年命をつないできたつわもの──カゲロウ
6 メスに食われながらも交尾をやめないオス──カマキリ
7 交尾に明け暮れ、死す──アンテキヌス
8 メスに寄生し、放精後はメスに吸収されるオス──チョウチンアンコウ
9 生涯一度きりの交接と子への愛 タコ
10 無数の卵の死の上に在る生魚──マンボウ
11 生きていることが生きがい──クラゲ
12 海と陸の危険に満ちた一生──ウミガメ
13 深海のメスのカニはなぜ冷たい海に向かったか──イエティクラブ
14 太古より海底に降り注ぐプランクトンの遺骸──マリンスノー
15 餌にたどりつくまでの長く危険な道のり アリ
16 卵を産めなくなった女王アリの最期──シロアリ
17 戦うために生まれてきた永遠の幼虫──兵隊アブラムシ
18 冬を前に現れ、冬とともに死す“雪虫”──ワタアブラムシ
19 老化しない奇妙な生き物──ハダカデバネズミ
20 花の蜜集めは晩年に課された危険な任務──ミツバチ
21 なぜ危険を顧みず道路を横切るのか──ヒキガエル
22 巣を出ることなく生涯を閉じるメス──ミノムシ(オオミノガ)
23 クモの巣に餌がかかるのをただただ待つ──ジョロウグモ
24 草食動物も肉食動物も最後は肉に──シマウマとライオン
25 出荷までの四、五〇日間──ニワトリ
26 実験室で閉じる生涯──ネズミ
27 ヒトを必要としたオオカミの子孫の今──イヌ
28 かつては神とされた獣たちの終焉──ニホンオオカミ
29 死を悼む動物なのか──ゾウ

 

 

この本の中にはミツバチの死に様も書かれています。


東洋経済オンラインで、このミツバチの部分が紹介されています。


働きバチの生態が実にわかりやすく描かれているので、ぜひ読んでいただければと思います。

 

これらをさらに、コンパクトに引用して紹介したいと思います。

 

花の蜜集めは晩年に課された危険な任務──ミツバチ

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ミツバチ

一生かけてスプーン1杯の蜂蜜を集める

ミツバチは、その一生をかけて、働きづめに働いて、やっとスプーン1杯の蜂蜜を集めるのだという。

何という憐れな生涯なのだろう。

働きバチは働くために生まれてきた。

ミツバチの世界は階級社会である。ミツバチの巣には1匹の女王バチと数万匹もの働きバチがいる。女王バチから生まれた働きバチはすべてメスのハチである。この数万の働きバチたちは、自らは子孫を残す機能を持っておらず、集団のために働き、そして死んでいくのである。

ミツバチの世界では、たくさん生まれたハチの幼虫の中から、女王になるハチが選ばれる。その選抜の過程など詳しいことはわかっていないが、選ばれた幼虫はロイヤルゼリーという特別な餌を与えられて育つことによって体長12~14ミリメートルの働きバチよりも体の大きな体長15~20ミリメートルほどの女王バチとなる。そして、女王は卵を産み子孫を増やしていくのである。

働きバチにとって、巣の中にいる大勢の仲間は同じ女王バチから生まれた姉妹である。姉妹は親から遺伝子を引き継いでいるから、仲間を守ることが、自分の遺伝子を守ることになる。そのため、彼女たちは巣の仲間のために働くのである。

そして、姉妹の中から女王バチが選ばれれば、そこから生まれる次の世代は、働きバチにとっては姪っ子になる。自らは子孫を残せなくても、自分の遺伝子は受け継がれていくのだ。

働きバチのあまりに儚い一生を私たちも笑えない | 雑学 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

 

働き盛りも過ぎて終わりが近づくようになると……

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ミツバチ

ミドルを過ぎたミツバチたちに与えられるのは、危険の多い仕事である。

初めにまかされるのが、巣の外で蜜を守る護衛係である。ミツバチにとって巣の外は危険極まりない場所である。出入り口とはいえ、巣の外に出ることは緊張を伴う仕事だろう。

そして、働きバチのキャリアの最後の最後に与えられる仕事こそが、花を回って蜜を集める外勤の仕事なのである。

働きバチの寿命は1カ月余り。その生涯の後半、2週間が花を回る期間である。

まだ見ぬ世界への飛翔。しかし、巣の外には危険があふれている。クモやカエルなど、ミツバチを狙う天敵はうじゃうじゃいるし、強い風に吹かれるかもしれないし、雨に打ちつけられるかもしれない。

蜜を集める仕事は、常に死と隣り合わせの仕事だ。いつ命を落とすやもしれない。一度、巣を離れれば無事に戻ってこられる保証など何もないのだ。

働きバチたちは、そんな危険な世界へと、決死の覚悟で飛び立っていく。

戻ってくるものもいれば、戻ってこられないものもいる。それがミツバチたちの日常だ。

老いたミツバチはかいがいしく花から花へと飛び回り、蜜や花粉を集めれば、巣に持ち帰る。そして、再び、危険な下界へと飛び立つ。

これを休むことなく来る日も来る日も繰り返すのである。

働きバチの寿命はわずか1カ月余り。

目まぐるしく働き続けた毎日も、やがて終わりを告げる。

 

女王バチは1日数千個の卵を産む

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女王蜂

危険を覚悟で飛び立った働きバチは、どこか遠くで命が尽きる。それはお花畑かもしれないし、そうではないかもしれない。


『文庫 生き物の死にざま』(草思社文庫)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら
ミツバチの巣は何万もの働きバチで構成されている。毎日、おびただしい数の働きバチが、どこかで命を落としていることだろう。しかし、それでいいのだ。女王バチは、1日に数千個もの卵を産む。そしておびただしい数の新しい働きバチたちが、デビューしてくるのである。

1匹のミツバチは、働きづめに働いて、やっとスプーン1杯の蜂蜜を集める。

そういえば、労働時間が長く、休みなく働く日本のサラリーマンは、世界の人々から「働き蜂」と揶揄(やゆ)されていた。

そんな日本のサラリーマンの生涯収入は平均2億5000万円。億単位のお金だからものすごい金額に思えるが、札束にしてみれば事務机の上に簡単に置けてしまう。大きなボストンバッグに入れれば持ち運べてしまうサイズだ。

われわれも一生、働いてみても、ミツバチの集めたスプーン1杯の蜜を笑うことはできないのだ。

 

最後の部分で、働き蜂と日本のサラリーマンを重ね合わせています。これを読んで、サラリーマンの多くの人が、働き蜂のこと、ミツバチのことを愛おしく感じてもらえたらと思うのですが、自分たち自身を憐れむのが先に来るのか。

 

感じ方は人それぞれかなと思います。

 

ただ、レビューを見ていると多くの方は今後の人生に前向きになられているようです。

 

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。