コーヒーとはちみつと私

【コーヒー&はちみつペアリング研究家】普段、私がコーヒーとはちみつをどんなふうに楽しんでいるかご紹介させて頂きます。

【農薬がハチに与える影響】QRコードを用いた自動観察で見えた事実

今年のお正月も平穏に過ぎていきました。

 

美味しいものを食べ、美味しいコーヒーを飲み、美味しいお酒を飲み幸せです。

 

けど、私たちが口にする食べ物の7割ほどが、ミツバチによる受粉が関わっているとも言われています。

 

そんなミツバチが、もしいなくなってしまったら平穏なお正月を過すことはもちろん出来なくたってしまいます。

 

しかし、日本だけでなく世界中でミツバチがいなくなったという報道が毎年のように聞こえてきます。

 

ミツバチを働かせ過ぎたり、温暖化による影響だったり様々なことが複雑に絡んでいるのかなと思います。

 

突然ミツバチがいなくなってしまう「蜂群崩壊症候群」の大きな要因として挙げられるのがネオニコチノイド系の農薬です。

 

その実態を解明しようとマルハナバチの背中にQRコードを貼ってロボットカメラでハチたちの動きを追う実験がされました。

 

 

学術雑誌『サイエンス』に掲載されたマルハナバチの追跡技術に関する論文

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マルハナバチ

「この薬剤は特に農薬として使われ始めたころ、初期検査をパスしました。『ハチたちが飛び交う畑に、この濃度で散布しても安全なのだろうか』という疑問は解決したはずだったのです」

しかし、この検査方法は必ずしも万全ではなかった。クロールは続ける。

「24時間あるいは48時間でハチが死ぬことはないでしょう。ところがさらに時間がたつと、ハチたちの行動に重大な変化が見られるようになり、長期的にはコロニーの機能と成長が害されてゆくのです」

 

一般的な殺虫剤であるイミダクロプリドのようなネオニコチノイド系薬剤は、ハチを瞬時に殺しはしないものの、その体に異変を及ぼす力をもっている。例えば、畑にまかれたネオニコチノイドのせいで、ハチの方向感覚や花を見つける能力が鈍ることが、これまでの研究でわかっている。

ハチは自らの、さらにはコロニー全体の食糧を調達しなければならない。だが、この薬剤はハチたちのそうした行動に深刻な影響を与える。

 

ネオニコチノイドを浴びたコロニーの内部で何が起きているのかを詳しく知ることは、これまで困難とされていた。クロールたちの研究チームが取り組んでいるのは、この問題だ。

農薬成分の一部はハチの活動を阻害する──QRコードを用いた自動観察で見えた衝撃の事実|WIRED.jp

ネオニコチノイドを浴びたコロニーの内部で何が起きているのかを検証することは普通に考えても難しいだろうと思うのですが、それをハチの背中にQRコードを貼りロボットカメラでハチを追うことで検証することが可能になったそうです。

 

こういった技術の進歩は凄いですね。

「ひとつのコロニーにつき5分間程度の観察を毎日12回行っています。ほぼ2週間にわたって完全に自動運転できるシステムです」。ハチの背中にはそれぞれQRコードが貼り付けられているため、コンピューターによる画像認識システムを使って、昼夜問わずハチたちの動きを追跡できる。

薬剤を浴びたコロニーとそうでないコロニーと間には明らかな違いが見られた。「薬剤を浴びたハチたちは動きが鈍く、じっとしている時間が長くなります」と、クロールは言う。巣の中心には世話を必要とする幼虫たちがいるのだが、「ハチたちはそこから少し離れたところで過ごすようになり、仲間同士の接触も減っていきます」

こうした行動の変化は夜間にさらに顕著になる。「昼間には問題なく機能しているように見えたコロニーが、一夜にして崩壊することもあるのです」

 

幼虫たちの世話をしなければならないときに、ハチたちの活動レヴェルが低下するのはとりわけ深刻な問題だ。健康なハチは活発に筋肉を振動させながら、自分の体の熱で幼虫たちを温める。クロールらの観察によると、イミダクロプリドを浴びたコロニーでは、正常なコロニーに比べて幼虫たちの体温維持がうまくいかず、幼虫の生育に大きな支障が生じる恐れがあるという。

幼虫たちの世話をしなければならない時に、活動レベルが落ちて世話をしなくなったら幼虫の成長に支障が出るであろうことは想像に難くないですね。

 

群れを作らないハチたち

ほとんどの種類のハチは群れをつくらず単独で生きている。単独行動をとるハチがネオニコチノイドを浴びるとどうなるのだろうか。

この種のメスはほとんどの時間を単独で過ごしている。交尾のために近づいてくるオスも、終わるとすぐに飛び去ってしまう。カナダのゲルフ大学でハチと殺虫剤暴露に関する研究を行い、クロールの研究に関する解説文を書いたナイジェル・レインは、次のように話す。

「交尾を終えたあと、メスはさまざまな役割を一手に引き受け、巣づくり、食糧調達、産卵のサイクルを数週間、場合によっては数カ月にわたって繰り返さなければなりません。それが死ぬまで続きます。ですから、1匹のハチに殺虫剤を吹きかけることで、結果的にハチたちの繁殖活動に重大な影響を与えてしまうことは想像に難くありません」

 

ハチの種類によって異なる影響

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ミツバチ

こうしたハチたちとは逆の習性をもつのがミツバチだ。彼らは数千匹からなるコロニーを形成する。ちなみに、クロールの研究対象であるマルハナバチは両者の中間に位置する種で、ひとつのコロニーに200匹ほどのハチが生息している。

ネオニコチノイドはミツバチの行動にもわずかながら異変を生じさせる。しかし、小規模なコロニーや単独行動のハチへの影響に比べると小さなものだ。レインは言う。

「食料を集める能力を鈍らせるのですが、1匹1匹が被るダメージは比較的小さく、もっと多くのハチたちが巣の外に出て任務を果たしているため、被害が表面化しにくいのです」

ミツバチにとってはよい話かもしれないが、ここに問題がある。研究者や規制当局はこれまで、ネオニコチノイド暴露の研究において、ほとんどの場合、ミツバチをモデルとして使ってきた。簡単に手に入るというのが理由のひとつだ。

しかし殺虫剤について言えば、ミツバチに当てはまることがマルハナバチや単独行動のハチには当てはまるとは限らない。生息している世界の規模が違うのだから。レインは「研究者たちや規制当局と連携し、潜在的な弱さをもつさまざまな種のハチたちの状況を考慮しながら研究を進めています」と語る。

ミツバチは大きなコロニーを形成するため、単独行動をするハチに比べれば食料を集めるという行動をするにあたって1匹当たりが受ける影響は小さいと言えます。

 

まとめ

農薬を使っているのも人間です。

 

今回のような技術の進歩によって、蜂群崩壊症候群の原因究明を行いその対策を行わなければいけない義務が人間にあると思います。

 

ハチ達が今よりも生活しやすい環境が一日も早く訪れることを願っています。

 

最後まで、読んで下さりありがとうございました。