出典:うちの郷土料理(農林水産省)
かしわのひきずり 愛知県 | うちの郷土料理:農林水産省 を加工して作成
栄養士を目指す学生の夏休みの課題
栄養士を目指す学生さんに、夏休みの宿題は何かあるのか尋ねてみました。
すると「都道府県は問わず郷土料理のレシピを考える」課題があるのだけども、全然進まないですと返事が返ってきました。
今の時代、郷土料理のレシピなんかはググったらいくらでも出てくると思うので簡単じゃないかと思ったら、かなりいろんな条件があるそうです。
その条件を聞いてみると、しっかりとは覚えていませんがざっくりこんな感じです。
- とにかく野菜を多く使う(キノコはカウントしない)
- 予算が決まっている
- 一汁三菜のような感じで提供することを想定する
- カロリー計算をする
別に愛知県でなくても良いようなので、お父さんやお母さんの出身地のものなど良いのではと提案したのですが、ご両親ともに愛知県のご出身だったようです。
だったらと言うことで、愛知県の郷土料理を検索してみました。
農林水産省のホームページに、各都道府県の郷土料理をまとめたページがありました。
そこで愛知県の郷土料理を見てみると、ものすごくたくさんあるのにまずは驚きました。
そして聞いたこともないものもあれば、これは全国的に食べられているものじゃないかと思うようなものもあります。
その学生さんに、なぜその課題が進まないかと聞くと「郷土料理を調べても、なかなか野菜をたくさん使うようなレシピを考えるのが難しい。愛知県の郷土料理はそもそもあまりたくさんの種類の野菜を使っているものがない」とのこと。
さらに、カロリー計算や食材の原価計算など難しいとの事。
カロリー計算は、今どきググったりアプリなどで計算するものがあると思います。原価計算をするのもまずどんな食材をどれぐらい使ってと言うレシピを決めてからでないとできませんので、まずはレシピを考えたらと提案してみました。
「とりのひきずり」でレシピを考えてみる
出典:
その次会ったとき、課題は進んだかと聞いてみると「とりのひきずり」で考えてみようと思いますと返事がありました。
農林水産省のホームページでは「かしわ」となっていますが、彼女が小学生の時の頃の給食でのメニュー名は「とりのひきずり」だったということで「とりのひきずり」としました。
前回、その場で一緒に愛知県の郷土料理を見ていた時アレンジ次第で比較的種類の多い野菜を使うことができそうな郷土料理はかなり限られていました。
そんな中で一番野菜をたくさん使うことができそうかなと私も思ったのが「とりのひきずり」です。
これを1人分のメニューとしてレシピを考えるにあたり、小鉢などをどうしたらいいのか。そんなことも悩んでいるようなので、小鉢に関してはとりのひきずりに無難に合いそうな「ほうれん草のおひたし」あたりはと答えておきました。
これ以上は、あまり私が口をとやかく挟んでも彼女のためにならないと思うのでそこで終りました。
ただ、せっかく良いお題をいただいたので「できるだけ野菜を多く使った蜂蜜を使用したとりのひきずり」を考えてみたいと思います。
ただ、考えるといっても野菜や調味料の分量などは考えず、ざっくりこんな風にしてはと言うものです。
メニュー名は「韓国風とりのひきずり定食」です。
その前に、一般的な「とりのひきずり」はどのようなものかご紹介しておきたいと思います。
農林水産省のホームページで紹介されている「とりのひきずり」
歴史・由来・関連行事
愛知県では、かしわ(とり肉)を使った料理が好まれてきた。愛知県における養鶏は江戸時代後期からはじまり、発展をしながら、明治初期には有名な”名古屋コーチン”が誕生。現在にいたるまで、養鶏が盛んである。愛知の里山には山鳥が多かったことが影響しているともいう。
そのため、愛知ではとり肉料理が多い。手羽先や焼き鳥、水炊きに加え、全国的に見ても珍しいとり肉を使ったすき焼きである「かしわのひきずり」などが代表的である。
「かしわのひきずり」という名前の由来については諸説あり、一つ目は、昔の包丁は切れ味が悪いためとり肉の皮がしっかり切れず、一切れ持ち上げようとすると、ずるずると引きずってくっついてきたからという説。二つ目は、すき焼き鍋の中で、引きずるようにしてとり肉を焼くからという説。そして、昔、村の若者がほかの家の鶏を盗んだときに、後ろで隠しながら引きずるようにして持って帰ったからという説などがある。
はちみつを使った「韓国風とりのひきずり定食」
まず、メインを紹介する前にその他の部分から。
小鉢は先程の「ほうれん草のおひたし」。
ほうれん草のおひたしは、メインとなる料理が何であろうと大体のものには合うと思います。
ご飯は、栄養バランスを考え「卵かけご飯」です。韓国風とりのひきずりが少し辛く濃いめの味付けとなるかなと言うところもあります。
とりのひきずりの具材を一緒にご飯にのせて食べると言うのにも、良いのではと思います。
香の物は「べったら漬け」。これも、とりのひきずりが濃い味付けになりそうなので、箸休め的に優しい甘さのべったら漬けにします。
また、愛知県の郷土料理を選んだと言うことで、愛知県と縁の深い徳川家。最後の将軍徳川慶喜が大好物だったものの一つが「べったら漬け」と言われているというところでも結びつけられるかなと思います。
そして、今回のメニュー名を御膳でなく定食にしたのは、このメニューに焼き物はいらないかなと思ったからです。
では、メインとなる「韓国風とりのひきずり」。
なぜ「韓国風」にしたのかと言うと、ごく一般的な醤油ベースのものに比べ、韓国風のものにした方が味の部分で相性が良い野菜の種類が増えそうかなと思ったからです。
醤油ベースのものには、割とキノコを多めに使いたいかなと思うのですが、今回の課題は「キノコは野菜にカウントしない」とのことなので、そうするとそんなにたくさんの野菜を取り入れるのが少し難しく感じました。
まずは味付けですが、ベースは醤油ベースの物になります。
醤油、酒、みりん、コチュジャン、豆板醤。また、愛知県は醸造業が盛んなのでたまり醤油や白醤油、さらに八丁味噌など使ってみるのも愛知県の郷土料理らしくなっていいかなと思います。
そして、甘さの部分と深い味わいを出すために蜂蜜を使いたいと思います。
どんな蜂蜜を使うか。
今回、愛知県の郷土料理に使うので愛知県らしい蜂蜜を使うことができたらと思います。
とりのひきずりを比較的よく食べる地域は尾張地区と奥三河地区だそうです。
尾張を代表する一宮市の木はクロガネモチです。いちのみやブランドとしてクロガネモチのはちみつを「福来蜜(ふくらみつ)」としても販売しています。
また、奥三河地区や知多半島の方でもクロガネモチのはちみつ は比較的多く採れています。
そう思うと、くろがねもちのはちみつと言うのは愛知県を象徴する蜂蜜の1つではないかなと思います。
そして、クロガネモチの蜂蜜は煮物などに使用すると、甘さ以外に全体のコクを増しさらに砂糖では出すことのできないちょっとしたアクセントつけることができるのかなと思います。
そして、家に置いておけばそんなにクセの強くない蜂蜜なので様々な食べ方に広く対応できるかなと思うのでお勧めです。
使用する具材
とりのひきずりなので、まずは鶏肉。
もも、胸、レバー、玉みち(キンカン)やせせりあたりが食べやすいかなと思います。
焼き豆腐、しらたき、しめじ、えのき、エリンギ。
そして、野菜は・・・
ネギ、春菊、白菜、人参、玉ねぎ、もやし、ニラ。
韓国風にすることで、ニンジンや玉ねぎ、もやしやニラの相性が良くなると思います。
また、海が近い知多半島の方では「ひきずり」に、鷄のかわりにイワシを使うこともあるそうなので、イワシを使ってみてもいいかもしれないですね。
まとめ
ここから先の、食材原価やカロリーに関しては私は調べません。
普段生活している中で、野菜の摂取量が少し足りていないかなと思ったら、皆さんの地元の郷土料理を使い野菜を多めにとることが出来るようなアレンジメニューを考えてみるのも楽しいですよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。