乳児ボツリヌス症
今、日本で蜂蜜を買うと、商品に必ず「1歳未満の乳児には与えないでください」と記載されています。
これは、土壌細菌であるボツリヌス菌が蜂蜜の中に入っている可能性が高いからです。
蜂蜜は抗菌効果が高いので、ボツリヌス菌が蜂蜜の中に入ったら自分の味を守るために芽胞と呼ばれる状態になります。
芽胞とは、一部の細菌が、増殖に適さない環境になったときに形成する、耐久性の高い特殊な細胞構造。熱・薬剤・乾燥などに強い抵抗力を示し、長期間休眠状態を維持できる。増殖に適した環境になると発芽して菌体に戻ります。
大人がボツリヌス菌が入った蜂蜜を食べても、大人の腸内環境はボツリヌス菌にとって「増殖に適さない環境」なのでそのまま排泄されるだけです。
ところが、1歳未満の乳児の腸内環境はボツリヌス菌にとって「増殖に適した環境」に当たります。
赤ちゃんの体内で、通常の勤怠に戻ったボツリヌス菌は、赤ちゃんの体内でボツリヌス毒素というものを排泄します。
この毒素が、赤ちゃん体内で神経機能を阻害し、呼吸と筋肉を麻痺させます。
これは、現在は多くの方に知られるようになっていますが一昔前は知られていませんでした。
台湾では、赤ちゃんが便秘になると蜂蜜水を飲ませると良いと言われていたそうです。
それが常識として思い込んでいる世代の人たちと、今の子育てしている世代の人とのあいだで起きた事件を紹介します。
文化の違い?1歳未満の赤ちゃんにはちみつを与えない
息子の便秘を過剰に心配する義母
離乳食が始まる前の息子は便秘知らずの子でした。しかし、生後6カ月で離乳食を始めてすぐのころ、丸1日半うんちが出なくなってしまったのです。気になりつつも、もう少しすれば出るだろうとそこまで心配はしていなかったのですが……。 そのことを義母に伝えたところ、「大変! 大変! 赤ちゃんがかわいそう!」と大騒ぎ。離乳食がいけないんだとか、作り方に問題があったとか、私を責める発言のオンパレードでした。衝突を避けたかったため、私は義母の発言に「うん。うん」と聞いているしかありませんでした。
台湾では赤ちゃんの便秘にはちみつが有効?
「赤ちゃんの便秘にはこれが効くのよ!」と義母が手にしていたのは、なんと「はちみつ」。「台湾ではね、赤ちゃんの便秘には“はちみつ水”を与えると、すぐに治るのよ!」と言うのです。私は一瞬、中国語を聞き間違えたのか?と大混乱しました。 私は「はちみつは1歳を過ぎてから」ということは、実際に赤ちゃんが「乳児ボツリヌス症」で亡くなったというニュースを見ていたので知っていました。いくら義母だからといっても絶対にはちみつをあげることは許せません。 すぐに、はちみつは1歳を過ぎないと与えてはいけないと説明しますが、「私はこれで5人子どもを育ててきたんだから!」と聞く耳を持ちませんでした。
その後、義母にはちみつ水を与えてはいけないと書いてある病院のホームページを見せたり、最悪死亡することもあると言うことを説明したそうです。
台湾でも、現在は「蜂蜜は1歳を過ぎてから」と日本の母子健康手帳にあたる「子供手帳」にしっかりと記載されているそうです。
感情的になって義母の言うことを否定したのではなく、面子を立てるようにし一旦受け入れきちんと順序建てて説明したことで衝突を避けられたそうです。
そしてその後は「台湾ではこうするけど、日本ではどう?」と聞いてくれるようになったそうです。
今まで常識だったことが、明日は常識でなくなっている。そんなことは、これからいくらでも出てくると思います。
柔軟に受け入れられるように頭を柔らかくし、またそういった情報をアップデートしていくことが必要なんだと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。