普段、年に数えるほどしかコーヒーのカッピングをすることはありません。品質管理を担当するなら、もちろん每日のようにするのでしょうが私のようなダメダメ営業マンは”何か”がないと、全然カッピングをしないです。
ここ数年はインターンシップで学生を受け入れているのですが、その時に学生たちと一緒にカッピングをして先輩風を吹かせています(笑)
昨年は、ひょんなことからSCAJ(コーヒーの大規模イベント)でブラジルのスペシャルティコーヒーを30種類以上カッピングするという機会に恵まれました。
カッピングをして比較対象があれば違いはだいたいわかるのですが、それをどんなイメージを持ったか言葉にするのはホント苦手です。
また、比較対象がない時、代表的なコモディティコーヒーであれば、おおよそはわかりますが、そうでないと全くわかりません。
飲んだことがあるコーヒーのイメージにかなり近いなと思っても、それが何だったのかを思い出すことが出来ません。この風味はこれだと、しっかりと記憶に結びつけるのは、相当カッピングをする必要性があると思います。
そんな普段カッピングをしない私が「コーヒーの精選方法による味の違い」という講座を受講しました。
コーヒーの精選方法
コーヒーの精選方法も細かく分けると最近は色々ありますが大別すると3つです。
- フリーウォッシュド
- ナチュラル
- パルプドナチュラル
以前は水洗式と呼ばれていたものはフリーウォッシュド(ウォッシュド)と呼ばれます。
そして非水洗式と呼ばれていたものがナチュラルと呼ばれるようになっています。非水洗式はウォッシュドでないため「アンウォッシュド」とも呼ばれていましたが「洗ってないのか」という意味に取られ印象がよくないとのことでブラジルの生産者やその組合が働きかけ「ナチュラル」という呼称に変えたと聞いたことがあります。
そしてパルプドナチュラルは、先述の2つのいいとこ取りといった精選方法です。最近、増えて来ている「ハニープロセス」もパルプドナチュラルに大別するとカテゴライズされます。
今回行った味の比較
今回は短い講座だったので2組の味の比較です。
今回は同じ農園で同じ品種の木から取れたコーヒーの、それぞれ精選方法が違うもので比較します。
ブラジル ナチュラルとパルプドナチュラルの比較
それぞれ、カッピングして味の違いを比較します。
昨年、SCAJでブラジルのスペシャルティコーヒーのカッピングをさせていただいた時はナチュラルかパルプドナチュラルかどっちかなと判断出来ないものが多かったですが今回はすぐにわかりました。
2つあって比較すれば、こっちがナチュラルでこっちがパルプドナチュラルとわかりますが1つしか出されないとわからないことが多いです。
ただ、ナチュラルだと思ったらほぼいつも合っていて迷ったものはパルプドナチュラルの確率が高いです。
今回、カッピングをしてそれぞれに感じた味の印象を記入しました。
参考までに、語彙力に乏しい私が書いた印象を書いておきます。
ブラジル ナチュラル
いつものブラジル。フルーティー。
ブラジル パルプドナチュラル
すっきり。クリーン。明るい酸。
以上です(笑)
ブラジルの精選方法はナチュラルが主流ですので、普段飲みなれているブラジルの味はやっぱりナチュラルです。
パルプドナチュラルは、ナチュラルと比較すると明確にキレイさを感じます。
ブルンジ フリーウォッシュドとナチュラル
ブラジル同様にブルンジのフリーウォッシュドとナチュラルの私が書いた印象を書いておきます。
ブルンジ フリーウォッシュド
いつものブルンジ。フルーティー(オレンジ)。華やかな酸。
ブルンジ ナチュラル
フルーティー。桃と杏を合わせた感じ。
以上です。今まで飲んできたブルンジは、ほぼフリーウォッシュドなので、やっぱりフリーウォッシュドは私が感じるブルンジのコーヒーの印象とほぼ同じでした。
そしてナチュラルは、今まで飲んだことのない雰囲気のものでした。これはカッピングをした瞬間に頭に「桃」が、すっと浮かびその後「杏」っぽさもあるなと感じました。
なかなか個性が強く面白いです。
おまけ
今回、日本では中々見ることが出来ないものを見ることが出来ました。
まずは「こっこ」。
こっことは、コーヒーチェリーと呼ばれるのコーヒーの実をそのまま乾燥させたものです。
コーヒーを精選する時「ナチュラル」では、果肉を除去せずそのまま乾燥させます。その乾燥させた状態のものです。
ナチュラルでは、この乾燥させたものを脱穀機(だっかくき)を使って種子の部分を取り出します。その種子の部分が、私たちが飲む「コーヒー豆」となります。
続いて「パーチメント」です。フリーウォッシュドでは、コーヒーの実の果肉と外皮を除去します。そしてこの「パーチメント」と呼ばれる固い殻の周りにある「ミューシレージ」と呼ばれる粘液質を発酵槽に漬けて除去してから乾燥させます。
このパーチメントを乾燥させた後、脱穀(だっかく)して種子の部分を取り出します。
ちなみに、このパーチメントの周りの粘液質「ミューシレージ」は中米の方では「ミエル」と呼ばれます。「ミエル」とはフランス語で「蜂蜜」の意味です。
パルプドナチュラルでは、この「ミューシレージ」を残した状態で乾燥させます。
この下の写真が、ミューシレージを残した状態で乾燥させたものです。パット見、キャラメルポップコーンみたいで美味しそうです。
最近、注目されている「ハニープロセス」はミューシレージを残す割合によってホワイトハニー、イエローハニー、レッドハニー、ブラックハニーと呼ばれます。
勘のいい方は気づかれたと思いますが、中米ではミエル(蜂蜜)と呼ばれるミューシレージを残すので「ハニープロセス」と呼ばれるようになったんだと思います。
まとめ
普段、比較対象のない1杯のコーヒーを何も情報のない状態で飲むときコーヒー好きな方は、どこのどんな豆だろうと考える方多いと思います。
私は、まず飲んでブレンドなのかシングルオリジンかを考えます。
ブレンドなら、どんな豆が使われているのだろう。その豆の配合比率はどれくらいだろう・・・と考えます。
シングルオリジンなら、どのあたりの国か。精選方法はなんだろうと考えます。
大外しすることも、多いですがこれを習慣づけるだけでそれぞれの大まかな特徴が掴みやすくなります。
ブレンドに入っていてわかりやすいものはロブスタ。「ロブスタが1割くらい入っているかな」とボソッと言ってビンゴだと嬉しいです。
そして、モカはわかりやすいですしモカの風味を感じないナチュラルっぽさを感じればブラジルと判断すれば、だいたい当たります。
ただ、スペシャルティコーヒーになると個性が強く素晴らしい酸味特性のものが多いので中々私のレベルでは、あたりを付けられません。
もっと、もっと舌を磨いて精進せねばと思いました。
最後まで、読んで下さりありがとうございました。