「6月16日」は私にとってちょっと特別な日です。
今から27年前の1992年6月16日。この日は、妻をデートに誘い告白した日です。あれから、もう27年なんだとちょっと感慨深いです。27年経てば年もとるはずです。
その1年前の6月16日にアメリカのエレナ・クヌッセン女史(Knutsen Coffee社)が亡くなりました。
エレナ・クヌッセンは1978年にフランスで開かれたコーヒー国際会議の席上で「スペシャルティコーヒー」という表現を初めて使用したと言われています。
「特別な気象・地理的条件が、ユニークな(特別な)風味(フレーバー)を有するコーヒーを生む」という提唱でした。
これが後にスペシャルティコーヒーのムーブメントを起こして欧米を中心に世界各国に広まりました。
アメリカ、ヨーロッパ、そして日本にもそれぞれスペシャルティコーヒー協会も設立されました。
- SCAJ(日本スペシャルティコーヒーコーヒー協会)のスペシャルティコーヒーの定義
- SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)のスペシャルティコーヒーの定義
- SCAE(ヨーロッパスペシャリティコーヒー協会)のスペシャルティコーヒーの定義
- スペシャルティコーヒーについて想う
SCAJ(日本スペシャルティコーヒーコーヒー協会)のスペシャルティコーヒーの定義
消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。
風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。
カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup)
私も、もちろんカフェに行きスペシャルティコーヒーとして提供されるコーヒーを飲みます。
ここの定義に書かれているのは「際立つ印象的な風味特性」「爽やかな酸味特性」「持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと」。
そして、そのコーヒーが「コーヒーの豆(種子)からカップまでの全ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である」ということです。
この定義のどこにも「コーヒーの苦味」には触れられていません。
そうすると、どうなるのか?
「爽やかな酸味特性」を際だたせるために焙煎は浅くなるという傾向が避けられないのかなと思います。
SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)のスペシャルティコーヒーの定義
SCAAでは定義としては定めていません。
信条として「教育と情報交換を通じてすばらしいコーヒーを育成すること」と掲げています。
意思疎通の場や教育・訓練の場を設け。各プロセスにおいて認定制度を導入、もしくは導入を計画しています。
SCAE(ヨーロッパスペシャリティコーヒー協会)のスペシャルティコーヒーの定義
定義を「From seed to cup」と定め、最終的に消費者が手にする液体としてのコーヒーの美味しさを求めています。
こうして見ると、同じスペシャルティコーヒーといっても日本、アメリカ、ヨーロッパでニュアンスは結構違いますね。
スペシャルティコーヒーについて想う
エレナ・クヌッセン女史が1978年にスペシャルティコーヒーという表現を用いて提唱してからおよそ40年が経ちます。
1年前に亡くなられたので、スペシャルティコーヒーのムーブメントを見届けられたと思います。
この今のスペシャルティコーヒーのブームを予想していたのかどうか。
当時のエレナ・クヌッセンが思い描いていた「スペシャルティコーヒー」の姿とどれくらい近いものなのか。
晩年のエレナ・クヌッセンはこのムーブメントをどう思っていたのか。
今となっては聞くことが出来ません。
「特別な気象・地理的条件が、ユニークな(特別な)風味(フレーバー)を有するコーヒーを生む」
コーヒーの品種や気象・地理的条件。さらに精選方法で個性を楽しむことが出来るのは消費者にとっては楽しいことだと思います。
そこに、浅煎り一辺倒に傾倒せず焙煎を楽しみ挽くことを楽しみ抽出も色々と試してみる。
そうすることで、スペシャルティコーヒーもコモディティコーヒーももっと楽しむことが出来るようになるのかなと思います。
スペシャルティコーヒーは、その豆の風味特性はもちろん個性豊かです。
それに比べるとコモディティコーヒーの個性は少ないと思います。
だからこそ、焙煎なり抽出なりでどう自分色のコーヒーにするのか楽しむことが出来るのかなと思います。
スペシャルティコーヒーもコモディティコーヒーも、どちらも”コーヒー”です。
これからも私はコーヒーを楽しんでいきたいなと思います。
そんなことを想う「6月16日」でした。
最後まで、読んで下さりありがとうございました。